有機材料の難燃化手法

建物の素材は、骨格となる木造、RC造、SRC造、鉄骨造などがあり、石膏ボード、ケイカル板、フレキ板、繊維強化セメント板、タイルなどが使われているが、有機材料は主に内装材に使われている。どの素材も火災には弱いために、一定の難燃性を保持するために、難燃剤が添加されている。このサイトでは、有異素材の難燃化技術について紹介する。


難燃剤の需要規模

西澤仁著「これでわかる難燃化技術」工業調査会(2004)によると、世界需要は、110万トン/年、国内需要は15万トン/年といわれている。また、別の調査では、150万トン/2014年→230万トン/2014年 Roskill「Flame Retardant to 2018」もある。国内需要は、17~20万トン/年と推定される。

次にどのような難燃剤が使われているか品種別の世界需要を表1、国内需要を表2に示す。出典:Polymer Dijest52(1), 2000

1. 臭素系難燃剤・・・・decaBDE(デカブロモジフェニルエーテル)、TBBPA(テトラブロモビスフェノールA)、ヘキサブロモベンゼン等

2. 塩素系難燃剤・・・塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン等

3. リン系難燃剤・・・トリクレジルホスフェート、縮合系ポリホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、赤燐等

4. 無機系難燃剤・・・三酸化アンチモン、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、ほう酸、ほう砂等

2005年欧州の難燃剤消費量(出典:EFRA&SRI)

 

 

プラスチックの種類

 難燃剤の需要は、プラスチックの種類に影響されるもので、その樹脂の成形加工時にいかに難燃剤がうまく役割を果たすかによって影響を受ける。このため、日本国内でどのような樹脂が使われているかを下表にまとめてみた。参考資料:日本プラスチック工業連盟 

建築材料として一般的に知られているものとしては、壁や天井の内装壁紙(PVC+紙),断熱材(PS、ウレタンフォーム、フェノール等)、窓用(PVC,PET)、床材などの化粧用としてオレフィンフィルム、あまり目にしないものとして保護フィルム(PE)化粧材として汚れ防止のため微粘着保護フィルムとして使われ、施工が終わるとはがされるものなどがある。この他、塗料(アクリル、ウレタン)、化粧板としてメラミン、PMMAなどもある。

難燃剤の種類(日本難燃剤協会

1.無機系難燃剤(硼酸、硼砂、水和物、金属酸化物、膨張黒鉛、赤リン等)

    木材の難燃剤には主に硼酸系や金属酸化物の粉末を使うことが多い。課題としては如何に木材に浸透させるかである。単純に水溶液として含浸させると、経年年    化で表面にブリード(白華現象)してしまう。プラスチック系素材には、金属酸化物や水和物が用いられることが多い。

2. 有機系難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等)

    プラスチックの難燃剤としては、圧倒的にリン酸エステル系のものが主流となっている。ハロゲン系特に臭素系難燃剤は環境問題があり、使用頻度が減ってきて    いる。