各種燃焼規格

 

燃焼試験法は、建築分野以外に、鉄道車両、自動車、船舶、航空機、電線ケーブル、家電製品、家具、衣料等様々な分野で展開されている。しかし、多くの場合は、系統的にまとめられており、世界共通のISO、IMO,米国のASTM、UL、FM、欧州のEN、CEN、日本のJIS等に定められている。

プラスチックを中心とした有機材料の燃焼試験方

プラスチック材料の燃焼試験では、成形板、積層体、シート、フィルム、発泡体など形状によって試験条件が異なる。ここでは、系統的に燃焼試験法をまとめてみる。試験法としては、材料自体の燃焼性(Small-scale fire test)、実際を想定した大きめの燃焼試験(Large-scale fire test)、実際の燃焼性を見るFull-sacale fire testなどに分類される。
1. 材料の評価方法(Material flammbility)
  • ① 材料の着火性(引火点、発火点、着火点、熱溶融)
  • ② 材料の燃焼性(Flammability) 
  • ・垂直試験法(vertical test methods)・・・酸素指数、UL-94 VO、DIN4102(Kleinburennertest)、シュライター試験(NT fire 002) 等
  • ・傾斜型試験法(incling test methods)・・鉄道車両AA法、メッケルバーナー法(消防法)、エピラジュエーター試験(NTP92-503) 、TB117等
  • ・水平式試験法(horizontal test methods)・・・展延速度(NTP92-504)、自動車内装材(FMVSS302)、UL-94 HB、電線ケーブル(JIS C 3005)等
  • ③ 火炎伝播性、展延性(flame spread)・・・IMO
  • ④ 発煙性(smoke density)・・・NBS
  • ⑤ 発熱性(heat release)・・・スミス炉、OSU試験(オハイオ州立大学法)
  • ⑥ ガス有害性(gas toxicty)・・・JISA1321
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  • 引火点(Flash point)

    可燃性液体の蒸気に火源を近づけた時に着火する最低温度で、主に石油類で規定されている。第一石油類(21℃以下)、第二石油類(21~71℃)、第三石油類(70~210℃)、第四石油類(210~250℃)。身近な化学薬品としては、灯油(40~60℃)、ガソリン(-43℃)、ベンジン(-43℃)、経由(40~70℃)、メチルアルコール(11℃)となっている。ガソリンなどは揮発性が高く、引火点が低いので火を近づけると爆発的に燃える訳である。
  • 試験方法としては、クリーブランド開放式が知られているが、この他、タグ密閉式、開放式、セタ密閉式、ペンスキーマルテンス式などがある。
  • 発火点(ignition point) ASTM E659

    発火点は、火源がなくても一定の温度になると、着火するものである。代表的な木材では260℃となっている。身近にあるプラスチック類(PP,PE、PVC等)は、300~450℃あり、自然発火することは考えられない。
  • 着火点(burnig point)

    火災を想定した場合、色々な着火源によって素材の燃え方違い場合が想定され、BAM着火性試験では、裸火、赤熱体、摩擦火花、電気火花等を前提とした着火試験がある。また、IMO(国際海事協会)の着火試験では、一定の輻射熱の条件下で、火源を繰り返し近づけることで着火点を見出す方法もある。これは、その後コーンカロリーメータ試験として応用されている。
  • 熱溶融(drippinng)

    プラスチック材料には、熱によって溶ける熱可塑性材料と熱によって硬くなる熱硬化性材料がある。火災時にはこの熱溶融現象をおこすことが、問題視されている。これまでは自己消化性として認められていたが、例えば実際の火災では、壁内に充填されていた熱可塑性断熱材が熱溶融によって抜け落ち、壁内が空壁が生じることによって火の廻りが早くなることが知られている。家具などの着火についてもドリッピング現象で早く着火することがある。
  • <燃焼試験に関する規格、機関名>
    ① ASTM(american Societyfor Testing and Materials)・・・アメリカ材料試験協会
    ② ISO(nternational Oraganization Standardization・・・・国際標準化機構
    ③ IMO(International Maritime Organization)・・・・・・国際海事機関
    ④ EN(European Standard)・・・・・・・・・・・・・・欧州統一規格(英国BS、ドイツDIN、フランスNF、北欧NT等)
    ⑤ UL(Underwriters Laboratories)・・・・・・・・・・非営利組織の「安全」に関する試験規格
    ⑥ FM(Facotry Mutual)・・・・・・・・・・・・・・・米国の火災保険会社及び財物損害防止の防火規格
    ⑦ NIST(National Institute of Standards and Technology)・・アメリカ国立標準技術研究所(以前はNBSと称していた)
    ⑧ NFPA(National Fire Protection Association)・・・・・全米防火協会
燃焼性試験(Flammabilty)
  • 水平試験法
    試験名 該当用途  試験・判定
    FMVSS 302 自動車の内装材料  試験の詳細(FMVSS302)
    UL94 HB HBF 電子機器・家電  試験の詳細(UL94 HB)
    JIS A 9511 硬質ウレタンフォーム断熱材  ASTM D 4986
    JIS C 3005 電線ケーブル  試験の詳細
    NFP92-504 建築材料(仏規格)  展炎性、熱溶融
  • 4傾斜試験法
    試験名  該当用途  試験・判定
    TB117 sect E 米・カルフォルニア州 家具 45度傾斜試験法
    鉄道車両試験 鉄道 45度傾斜試験
    エピュラジエーター試験(NFP92-503) 仏国・建材試験 試験の詳細
    消防法4条3 JIS L0191 繊維製品 防炎製品 45度傾斜
  • 垂直試験法
     試験名 該当用途 試験・判定
    UL94 Vクラス 設備・装置機器関係 詳細
    酸素指数 JIS K 7201-1 プラスチック(フィルム 発泡材、シート) 詳細
    Kleinbrenner test DIN 4102 建材・展炎性 詳細
    Schreiter test NT fire 002 北欧・展炎性 詳細
  •  
  • 発熱速度・・・・OSUテスト(オハイオ州立大試験法)、AS1530 Part3等
  • 発煙性・・・・・・NBSスモークチャンバーテスト、ピッツバーグ大試験法、消防研ボックステスト等
  • 燃焼ガス毒性・・・・NBS試験法、SMOLKOVA試験法、NASA試験法、ピッツバーグ試験法、バーキー式毒性試験法等
2. 大規模火災実験(Large-scale fire test/Full-scale fire test)
  スモール燃焼試験では、実際の火災には合わない場合が多い。例えば、材料単体で評価するだけでなく、実際の施工では、パネルの繋ぎ目地があり、これを嵌合した  り、ジョイナーを使用したりする。この場合は、Large scale fire testまたは、Full scale fire testで評価するのが正確な防火予測に繋がる。燃焼試験では、FM(Factory Mutl)、UL(Underwriter'sLaboratories)ry), ISO,ASTM,EN等様々な規格がある。その一例を下表に示す。
   規格  試験・判定
ルーム/コーナーテスト ISO 9705、ASTM E2257-17 ASTM E119,
EN13823 FM25ftコーナーテスト
発熱速度、発煙量
スタイナートンネルテスト ASTM E84   詳細
ボックステスト(ルームテスト) ISO EN14509 EN13501-1 EN 14390  
内装壁、天井、屋根等のコーナーテスト FM4880 FM4975 ISO13784  
小型/大型耐火炉試験 JCS7500シリーズ JIL5501-2010  




3. 用途別燃焼試験(内装材)

3-1輸送

① 航空機 ケミトックス詳細

② 船舶     IMO規格(国際海事機関)   性能安全評価センター   

③ 鉄道車両   JRMA(日本鉄道車両機械技術協会)

④ 自動車    MVSS   ケミトックス 

3-2 家電・IT機器 電子情報産業協会(JEITA)

3-3 電線ケーブル 電線総合技術センター(JECTEC)

3-4 衣料・繊維製品 消防法 日本繊維製品品質技術センター(qtec)

3-5 家具・寝具  消防法 クッション材 日本ウレタン工業協会