建築基準法による各種燃焼試験

1. 防耐火性能はどういうところで必要となるか?

1-1 地域による規制・・・・防火地域、準防火地域、22条地域

     都市部の密集した場所や人が多く行き交う場所は火災時に危険が伴うので、防火地域に指定される。一方、地方の山村のように人が少なく、家同士も離れてい      るような場所では、特に規制は生じない。

1-2 建物の種類による規制・・・耐火建築物、準耐火建築物、防火構造、準防火構造、大規模木造建築物、階数、延べ面積等

    建物は、木造、RC造、鉄骨造等の種類の他に、建物の高さ(階数)、床のべ面積の大きさ、更に建物に不特定多数が出入りする特殊建築物であるか等によって

    細かく規制されている。

1-3 防火材料・・・・不燃材料、準不燃材料、難燃材料(内装制限)

   建物に使用される建築材料は、使う場所によってそれぞれ規制されており、特に内装制限は普段生活する場所に直接接する箇所なので、壁や天井材が規制を受ける

1-4  指定機関・・・これらの規制について指導や認定手続きを行う機関がある。(以下の表)

機関名 住所 電話番号
(財)日本建築センター 〒101-8986 東京都千代田区神田錦町一丁目9番地 東京天理ビル 03-5283-0461
(財)建築試験センター(JTCCM)中央試験所 〒340-0003 埼玉県草加市稲荷5-21-20 048-935-1991
(財)日本建築総合試験所(GBRC) 〒565-0873 大阪府吹田市藤白台5-8-1 06-6872-0391
(地独行法人)北方建築総合研究所(道総研) 〒078-8801旭川市緑が丘東1条3丁目1-20 0166-66-4211
(財)ベターリンビングつくば建築試験技術センター 〒305-0802 茨城県つくば市立原2番地 029-864-1745
(財)日本住宅・木材技術センター 〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4−2 03-3647-3930

 

2.防火材料(不燃、準不燃、難燃)

材料の燃焼試験には、不燃材料、準不燃材料、難燃材料などを評価するものとして以前は建告第1321号(JIS A1231号)による発煙性の燃焼試験であった。この試験は、英国規格のBS 4746 Part7を参考に作られたものである。これに付加試験として施工性を含めた模型箱試験が追加され、複合材料の評価に使われるようになった。しかし、近年、発熱速度や発熱量で評価することが世界の主流となり、ラウンドロビンテストを経てコーンカロリーメータ試験が導入された。
 現在建告第1321号が採用されているのは、ガス毒性試験のみであるが、赤ラワン材を基準としてマウスの行動停止時間が長ければ、毒性は少ないと判断されている。これまで不合格となったものは2種類のみとなっている。また、不燃材料の試験方法として基材試験がある。(詳細は別途)

① 不燃基材試験(建告1828、ISO1182)

② コーンカロリーメータ試験(ISO 5660-1、ASTM E 1354、建告第108条の2)

③ ガス毒性試験(建告第1231号、JIS A 1321)

④ 模型箱試験(建告1372、ISOWD17431)


3.耐火性能

   耐火性能は、建物が火災を起こした時に他の建物に延焼することなく、また建物自体が崩壊しない性能を有するもので、建物の主要な構造(屋根、柱、梁、壁、    床、階段等)に  一定の耐火性能を有するものとしている。耐火性よりもやや緩和されているのが、準耐火性能である。

  3-1 耐火構造(法第2条七号)

   通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能で、建物の階数、延べ面積に    よって耐火性能時間が下表のように異なる。

 

 

   

  3-2 準耐火構造(法第2条七号の二)

    準耐火性能は、通常の火災による延焼 を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能で、以下の準耐火試験が決めらている。

 

4. 防火性能

   防火性能は、建物に火災が起きた時に、隣接する建物が延焼しないような性能で、に、外壁や軒裏に防火性能が求められる。また、やや性能が劣るものの、

   準防火性能(昔は土塗り壁同等性能と言っていた)が求められる。

    防火構造準防火構造

 

 

5.屋根不燃飛び火試験

屋根材は、不燃材で葺くとされているが、金属と断熱材を複合化したようなものを屋根不燃としている。更に、近年では、太陽光発電の普及により、可燃物も含む   付帯設備があるために、飛び火試験が追加された。

 

6. 防火設備